【ロードバイクのフレーム素材】アルミとカーボンの違いを徹底比較!

2025年3月23日by 多摩バイクプラス
下田港にてペリー提督の胸像と共に

みなさんこんにちは!多摩店の"テツ店長"ことスタッフ河井です!!

ふだん皆さんがお乗りのロードバイクに使用されるフレーム素材って、どんなモノが使用されているのかご存じですか?

ざっくり言うと、古くはスチールから始まり、その後はアルミやチタンといった新しい金属素材に進み、現在は非金属のカーボンファイバーが全盛期を迎えているという状況なのであります。

そこで今回は、ロードバイクのフレーム素材として圧倒的主流派である『アルミ二ウム』と『カーボンファイバー』について解説してゆきたいと思います。



フレーム素材の特徴

アルミフレーム断面図

自転車の骨格といえる『フレーム』は、自転車を構成する最大のパーツとも言え、これにより自転車の性能や性格が決まってしまうと言っても過言ではありません。

やはり素材の持つ特性の影響は大きくて、それは良し悪しということではなく、人間に例えると、持って生まれた性格のようなところもあるので、乗る方も自分との相性を見極めながら選ぶと、良いパートナーが見つかることでしょう。

アルミフレーム溶接部

アルミフレームとは?

ロードバイクのアルミフレームに使用される素材の『アルミ』ですが、実際には『アルミ合金』と言ったほうが正確で、純粋なアルミニウムにマグネシウム、シリコン、亜鉛など金属元素を加えることで、ロードバイク用フレームに求められる、軽量でありながら高い強度を実現しています。

また、高圧の水を用いてアルミパイプを複雑な形状に成形するハイドロフォーミング加工、アルミパイプの肉厚を部分的に変えるバテット加工などの技法を用いて、フレームを最適化できる加工性の良さもアルミフレームのメリットと言えます。

メリット

  • 軽量:アルミは鉄に比べて密度が低いため、同じ強度を保ちながら軽量化が可能です。フレームが軽量化されることで自転車の重量が減り、加速性や取り回しが向上します。
  • 高強度: アルミを合金化することで、軽量でありながら高強度で耐久性あるフレームを作ることが可能です。
  • 高剛性:アルミ合金の素材が持つ特性や、熱処理、各種形状加工により強度や硬度を高める事ができ、ペダリングパワーを効率良く伝達し、ダイレクトで加速性に優れたフレームになります。
  • 加工性に優れている: 熱処理や溶接などの加工が容易で、さらに楕円形やエアロ形状などの複雑な形状に加工することで、フレーム剛性や振動吸収性を変化させることが可能です。
  • 耐久性が高い: 適切な合金と製造工程により、高い耐久性を実現しており、長期間の使用にも耐えることが出来ます。

デメリット

  • 振動吸収性が低い: 剛性を上げることで路面からの振動を吸収しにくくなり、長時間のライドでは、手が痺れたりお尻が痛くなったりする原因となることがあります。
  • 衝撃に弱い: 強い衝撃を受けると、へこんだり割れたりする可能性があります。
  • 金属疲労を起こす: 長期間の使用や繰り返しの衝撃によって金属疲労を起こし、強度が低下してフレームクラックが発生する可能性があります。

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カーボンフレームの自由な造形

カーボンフレームとは?

自転車用カーボンフレームは、その軽量性と高剛性、さらに振動吸収性の高さから、ロードバイクのフレーム素材として非常に優れた特性を備えています。カーボンフレームを構成する素材は『カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)』といい、細くて強靭な炭素繊維を重ねてエポキシ樹脂で一体化したものです。

カーボンフレームの製造工程では、裁断した繊維を樹脂に浸しながら金型に重ねてゆき、加熱圧力をかけて硬化させて成形します。この時に積層を変えたり、形状を変化させることで、フレームの剛性や振動吸収性などを自由にデザインできることが、カーボンフレーム最大のメリットと言えるでしょう。

また一口にカーボンフレームと言っても、使用されるカーボン素材には様々なものがあります。その特性を示す指標のひとつが『弾性率(ヤング率)』です。これは力を加えたときにどれだけ変形しにくいかを示す値で、弾性率が高いほど剛性(硬さ)が高いということを意味します。

剛性が高いと、パワーをロスなく推進力に変換できる一方で、振動吸収性や快適性が低下しやすくなります。逆に、剛性を抑えてしなやかさを持たせることで、振動吸収性が高まり、快適な乗り心地を実現できるのです。

カーボンフレームの素材サンプル

剛性が高いフレームの特徴

メリット

  • 高い推進力: ペダリングの力をロスなく伝えられるため、加速性やヒルクライムでの反応が非常に良くなります。
  • ハンドリングの精度: フレームがねじれにくく、コーナリングや高速走行時のラインの安定性が高くなります。

デメリット

  • 快適性の低下: 路面からの振動を吸収しにくいため、長時間ライドでは手やお尻に疲労がたまりやすくなります。
  • 脚への反力増: 剛性の高さによりペダリングの反動が強くなり、筋肉への負担が増えることがあります。

しなやかさを持たせたフレームの特徴

メリット

  • 振動吸収性が高い: 路面からの細かい振動を和らげることで、長時間でも疲れにくく快適に走行できます。
  • 乗り心地の良さ: 長距離ライドやツーリングなどで、体への負担が軽減され、安定した走行を楽しめます。

デメリット

  • 加速性の低下: 剛性が低めになると、ペダルの力がフレームに吸収されやすく、反応性がやや鈍く感じられることがあります。
  • ダイレクト感の減少: フレームがわずかにたわむことで、シャープな操作感が薄れることもあります。

このように、剛性やしなやかさのバランスがカーボンフレームの性格に大きな影響を与えます。以下のような方法で素材設計を調整することにより、それぞれのバイクに最適な乗り味を作り出しています。

  • 炭素繊維の種類: 弾性率の高いカーボンを使うと剛性が高まり、低めのカーボンを使うとしなやかさが増します。
  • 積層構造: 炭素繊維の積層の方向や厚みを調整することで、必要な剛性と柔軟性を細かくコントロールできます。
  • 樹脂の種類: カーボン繊維と一体化する樹脂によっても、最終的なフレーム特性は大きく変化します。

一般的に高弾性カーボンは高価で加工も難しいため、上位モデルではより軽量で剛性の高いフレームが可能になります。

このように、カーボンフレームは様々な工夫によって一本の個性を持つフレームに仕上げられており、選ぶ際は乗り手の目的や走り方に合わせて最適なモデルを選びたいものです。

カーボンフレームの造形美

最後に全般的な傾向として、カーボンフレームの特徴をまとめてみましょう。

メリット

  • 軽量性: カーボンは金属に比べて非常に軽く、フレームの軽量化に大きく貢献します。これにより、自転車全体の重量が減り、加速性や登坂性能が向上します。
  • 高剛性: カーボン繊維の配置や積層設計を緻密にコントロールすることで、優れた剛性を実現できます。ペダリングのパワーを無駄なく推進力に変え、ダイレクトな加速感を得られます。
  • 振動吸収性: カーボンの設計次第で、しなやかさを持たせることができ、振動を効率的に吸収します。これにより、長距離ライド時の疲労軽減に繋がり、快適性が大きく向上します。
  • デザインの自由度: カーボンは成形性に優れているため、複雑な形状のフレームを製作できます。これにより、エアロダイナミクス性能を高めたり、スタイリッシュなデザインを実現したりすることができます。

デメリット

  • 高価格: カーボンフレームは、製造工程が複雑かつ高価な素材であるため、他の素材のフレームに比べて価格が高めです。
  • 衝撃への弱点: 特定方向からの荷重には非常に強い反面、想定外の方向からの衝撃には弱い特性があります。とくに局所的な衝撃に対しては注意が必要です。
  • 修理の困難さ: カーボンフレームは一度損傷すると修復が難しい場合があり、損傷の程度によっては交換が必要になることもあります。

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アルミとカーボンの比較

素材 アルミ カーボン
価格 安価 高価
重量 軽量 超軽量
剛性 高い 高い
振動吸収性 低い 高い
耐久性 中程度 高い
取り扱い易さ 容易 要注意

一般論としては上記のような特徴を上げられますが、いっぽうでアルミの素材を吟味して、さらに加工も徹底することで、カーボンに匹敵するエモンダALRのような軽量モデルもあったり、徹底的にカーボンの軽さを活かしたマドンSL&SLRや、カーボン素材の特性を活かして振動吸収性に機能を求めたドマーネSLドマーネSLRといった、それぞれ特徴を持ったモデルが存在するので、素材にだけとらわれることなく、バイクの特徴をよく吟味して、自分の用途に一番合ったバイクを選ぶと良いでしょう。

カーボンフレームに関するプレゼン風景


使用シーン別おすすめ素材

  • 初心者・エントリー用途の場合:初めて乗るロードバイクで、間違い無いのがドマーネALシリーズです。アルミフレームながら硬すぎない乗り心地に、ドマーネらしさとも言える安定したハンドリングは、初心者の方にぴったりのパッケージングです。さらにアルミの強度に余裕があるため、フレーム各部に設けられたアクセサリー取り付け用台座(ダボ穴)を活用して、キャリアやフェンダーの取り付けも可能な多用途性を備え、これからロードバイクを楽しんでいきたいという方は、選んで間違いのない1台でしょう。
  • ロングライドや本格的なサイクリングの場合:長距離&長時間走り続ける場合には、極力疲労をためない快適性の高さが求められます。そうなるとここは振動吸収性にすぐれたカーボン素材の独壇場と言っても過言ではありません。とりわけ振動吸収システム『ISO SPEED(アイソスピード)』を装備したドマーネSLSLRは、カーボン素材のしなやかさと剛性のバランスを最大限に引き出す設計となっており、他のロードバイクとは別次元の快適な乗り心地を実現しています。低重心&ロングホイールベースの安定感も相まって、極上なライドフィールを提供してくれます。
  • レースで使用する場合:速さを競う場面で要求される軽さと剛性を兼ね備えたバイクといえば、やはりマドンSLSLRと言えるでしょう。特に『900シリーズOCLVカーボン』を使用するSLRは、トッププロの脚力を支える超軽量かつ高剛性なスペックがもたらす走りは、機材に妥協はしたくないという方には一択です。レース初心者で予算に制限のある方には、軽量アルミフレームのエモンダALRもおすすめです。もともと剛性の高いアルミ素材を極限まで軽量化することで、カーボンに負けず劣らずの加速力を備えたバイクに仕上がっています。
  • 予算に余裕がある場合:せっかくロードバイクに乗るなら、予算に縛られず最高のライド体験をしたい!そんな方にぜひおすすめしたいのがドマーネSLRになります。フレーム素材の『800シリーズOCLVカーボン』による、軽量かつ高剛性な走りのキレと、ドマーネらしいしなやかで快適な乗り心地を兼ね備えた至高のロードバイクに仕上がっており、サイクリングで最高のパートナーになってくれることでしょう。また体力に自信が無いという方には、電動アシスト付きのドマーネ+SLRという選択肢があるのもうれしいところです。


実際に選ぶ際のポイント

ロードバイクを選ぶにあたり、予想される使用用途と予算の兼ね合いで車種を選定することになりますが、どれを選ぶのが正解なのか分からなくなって、堂々巡りになってしまった挙句、決められなくなってしまうケースも散見されますので、ここではそんな方向けにロードバイク選びのポイントをご紹介します。

  • 価格:ロードバイク購入にあたっての予算イメージですが、現時点(2025年)の予算感で言うと、ざっくり30万円前後でアルミフレームとカーボンフレームに分かれます。もちろん予算に余裕があれば、軽量で快適なカーボンフレームを選んでおいて間違いはありませんが、当初アルミフレームを選んだとしても、後々ホイールやパーツを換装してアップグレードするという選択もアリです。乗る楽しみとイジる楽しみの両方を楽しめてしまうのは、楽しさ2倍でおすすめです(笑)
  • 試乗:ロードバイクとひと口に言っても、車種によって乗り心地や反応性、硬さ(剛性)の違いがあります。また、同じ素材でもフレームのグレードによってしなやかさや加速感が変わることもあるので、見た目だけでなく“走りの中身”を確認できる試乗はとても大切です。候補が複数あれば、ぜひ乗り比べてみてください。(試乗サービスについて
  • 用途:近距離の通勤通学など、日常の実用使いがメインなら気軽に扱えるアルミフレームがおすすめです。一方で、ロングライドやヒルクライム、レース出場といった夢や目標があるなら、剛性・軽量性・振動吸収性に優れたカーボンフレームが長い目で見て後悔のない選択になる可能性が高いです。
  • フィッティング:アルミでもカーボンでも、またどんなにハイスペックなバイクでも、自分の体に合ったサイズを選ばないと、本来の性能も快適さも得られません。フレーム素材よりもまず優先すべきは「フィッティング」とも言えます。購入時には必ずフィッティングを行ってくれるショップを選びましょう。(サイズフィッティングの重要性について


まとめ

今回はロードバイクに用いられる2大フレーム素材について解説してきましたが、ロードバイクというこの上なくシンプルな乗り物にとって、骨格となるフレーム素材の役割は果てしなく大きいと言えます。

今現在ロードバイクを選ぼうとすれば、ほぼどちらかのフレームにはなりますので、自分の用途や予算と、バイクのコンセプトがうまくマッチするような自転車選びをしたいものです。

最後に、バイク選びに迷ってしまってなかなか一つに絞れない…そんな方に一番のアドバイスは「お店のスタッフに相談してください!」に尽きるかと思います。

質問・相談から試乗、フィッティングまで、お客様に最適なロードバイク選びにとことんお付き合いさせていただきますので、まずは店頭に足を運んでみてください。

それでは皆様のロードバイク選びが最高の体験になることをお祈りして、筆を置くことといたします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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